「酔月窯の特徴は、会津へのこだわりです」と語る五代目当主の西田理人さん。地元で採れる大久保陶石を主原料にし、身知らず柿や起き上がり小法師など、会津らしい柄を絵付けしています。絵の具も地元の八日町粘土を主原料としています。
比重が軽い大久保陶石から出来上がるのは、割れにくく、丈夫な、少し厚手の磁器。震災の時、棚から落ちても割れることが少なかったのだとか。翌年にはその丈夫さゆえ壊れた器の代わりを買い求める人が増えたそうです。丈夫なことに加え、シンプルなデザインが多いのも、地元会津の人たちの日常使いの器として愛用されている理由。素朴で、飽きの来ない器です。
初代西田三九郎は会津藩の武士でしたが、戊辰戦争後本郷村に移り住み、窯焼を始めました。潔い西田さんの語り口調に、会津の侍魂を感じます。