かつては傍らに農業を営みながらも、町のほとんどの人が陶芸という産業に従事してきた。土や磁石を掘り起こし、ろくろを回し、絵付けをし、登り窯に火を入れて、器を製成する。長い時間をかけて、すべての工程を手作業でかつ一貫して行う、町総出の産業であった。会津の郷土料理「にしんの山椒漬け」作りに適する「にしん鉢」で広く知られるようになった会津本郷焼。外見は素朴だが中身はしっかり、というまるで会津人気質を反映するかのような焼き物はこの土地で生まれたもの。時代の流れとともに、工程の機械化や需要の変化により、徐々に規模は縮小し、現在は13窯元、登窯1つとなるが、その歴史は細くも脈々と今に受け継がれている。
そんな町にももちろん、他の土地と同じように、高齢化や少子化といった課題もあるが、それでもここで営まれる人々の生活には笑顔が宿る。今も残る商店街が、足を運んでくれる人のためにお楽しみ特典ありのスタンプカードを始めてみたり、伝統のソウルフードを楽しめる食堂が元気に営業していたり、町の歴史や営みを広くPRするイベントが開催されたり。それぞれが互いに助け合い、そこに笑顔が溢れる。そんな田舎の良さに魅了されてか、観光客もあとを絶たない。